コヒチの子育て

コヒチが出産したのは、お隣のばあちゃん家(の物置の下)。
よりにもよって、おばあちゃんは大の猫嫌いだった。
出入りするのは専ら 物置と我家の塀の間からだったから、
私たちの心配に反して おばあちゃんに気付かれる事はなかったけれど。

「ねぇねぇ、コヒチ。 チビちゃんたち触らせて?」
頼んでみても、コヒチは知らんぷり。
仔猫に触ろうとしても、途端にお隣の物置の下へ身を隠してしまう。
物置の下に逃げられてはもう手の出しようが無い。

それでも諦めきれず、コヒチの目を盗んで、
仔猫たちに気付かれないように 足音を忍ばせて近づいたり色々やった。
結局いつも捕まるのは牛柄の仔猫。
片手で持てる程小さくて、軽くて、元気な仔猫だった。
茶トラの2匹は すばしこくて、全然触らせてくれなかったけど ^^;

そんな中でも(私たちの妨害に遭いながらも)、コヒチの子育ては順調だった。
我家の家庭菜園で仔猫たちにお乳を飲ませ、庭で運動会を開く。
そして狩の仕方を教えるようになった。
コヒチが手本に昆虫を捕まえ、
それを離して 次に仔猫たちに捕まえさせる。
ふわふわの綿毛が、もこもこ動いている様が可愛くて仕方なかった。

着々と仔猫たちが大きくなっていく中で
「あの牛柄のコ、なんか おかしくない?」
それは、ちょっとした違和感。
なんとなく立ち姿?というより体格が 他の仔猫と違って見えた。
「もしかしたら、あのコ 長くは生きられないのかもしれないね。」
今考えると、とんでもない勘違いだったのだけど ^^;

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